「えんげきのぺーじ:一行レビュー」再録:2005年

6/22- 6/30「アルトゥロ・ウイの興隆」(ベルリナー・アンサンブル)@新国立劇場中劇場
★★ 06/28 7、8年前ベルリンで見たときのほうがはるかにパワーがあったと感じたのは記憶の中で過去が美化されたからではあるまい。ヴトケの熱演はプロ意識を感じさせるのに十分だったが他のキャストのおざなり演技は下手な日本の商業演劇を見ているよう。天国の(地獄かもしれんが)ミュラーが見たら発狂するぞ。

6/ 5- 6/26「桜姫」(コクーン歌舞伎)@シアターコクーン
★★★ 06/26 郡司色というか、60年代色を残した串田の演出(非人の扱いの元ネタは白土三平とみた―『赤目』やってるからね)、同時に郡司が想定したであろう特権的肉体の不在。橋乃助はゴキコンの役者に見えた瞬間はあったけど。

3/25- 3/28「終着駅アメリカ」(フォルクスビューネ・ア…)@世田谷パブリックシ…
★★★★ 03/28 ここまでウィリアムズを解体するとは! 乱暴で出鱈目で面白いことこの上なし。はじめてセックス・ピストルズ版「マイ・ウェイ」を聞いたときの衝撃を思い出した。カストロフって元東独のパンク演劇野郎なんだな。

3/17- 3/30「御前会議」(青年団)@こまばアゴラ劇場
★★ 03/25 要素を盛り込みすぎでは? 平田ほどの才能があれば、ポツダム宣言受諾可否についての御前会議だけにしぼって『アルトロ・ウィ』をやるだけで面白くなったと思うのだが。 (平成の岡鬼太郎ことひびの(最後に一言添へて置く…))

「ジュヌン?狂気」(ファミリア・プロダクション)@パークタワーホール
★★ 03/19 フランス語圏演劇の二流(三流にはあらず)演出家による作品。見事だが空虚なミザンセーヌ、思わせぶりな沈黙やポーズ、子供のゲームに打ち興じる俳優たち、音楽に合わせて振り付けられた俳優の動きなどはどこかで見たことのあるようなものばかり。光と音がシンクロする中で俳優たちがポーズを決め、短い言葉がテンポよく交わされる幕切れは80年代日本の小劇場演劇のフラッシュバックかと思ってしまった。

3/10- 3/12「家まで歩いてく。」(珍しいキノコ舞踊団)@さいたま芸術劇場小
★★★★ 03/13 ここのところ影を潜めていたかつての80年代テイストがこの公演で再び全開になったように感じられたのは私だけだろうか。「不思議、大好き」((c)糸井重里)のコピーが脳裏を横切っていったり、キノコと同様、80年代的な匂いを残しながらクオリティを落としていないいくつかのNHKの子供向け番組を思い浮かべてしまった。

2/27- 3/13「ファンタスティックス」(宮本亜門演出)@世田谷パブリックシ…
★★★ 03/13 全体としては及第点だけど、大和田美帆はたしかに問題。努力はすごくしているのはわかるのだが、自分の音がちょこちょこと外れている箇所を自分で聞けてない。耳の悪さは歌手としては致命的なので、今後はコメディエンヌとしての修行を積まれたい。あと、二幕の演出の処理もクレバーな亜門にしてはめずらしく訳わからないままほったらかしにしているのが気になったが、オリジナルがそうだからしかたないのか?

3/ 8- 3/13「キャベツの類」(五反田団)@こまばアゴラ劇場
★★★ 03/13 久々の五反田団、面白かったけど、前田司郎は才能に頼って書きすぎ。「書ける」ものを書いているだけだとこぢんまりまとまっちゃうよ。自分にないものを求めて挫折する経験は、九割方不要なのだが、しかし多少は必要なんだな、これが。

2005年3-6月しかないというのはなあ…

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