Mさん
こちらこそご無沙汰しています。また何かというとお声をかけていただきありがとうございます。
ただ、正直にいうと、小劇場が今沈滞ムードにあるとか、ないとか、そういう状況論的な判断を下すこと自体に私はそれほど興味がないので、はたしてお手伝いができるか不明です。
勢いのある集団・才能のある劇作家や演出家がまとまって輩出する時代と、そうでない時代があることは確かだと思いますが、それはいわば偶然に左右される要素が大なのではないでしょうか。
さらに言えば、どうやら「沈滞ムードにある」とされる小劇場界に対して、批評のコトバを用いて一種の処方箋を書くことで状況が変わる、と考えるような愚かで傲慢な批評家にだけはなるまい、と私は考えてきました。批評家がなし得る最大の貢献といったら、時代の潮流を後追いで捉えることがせいぜいでしょう。(ある種の批評家たちを私がどうしても好きになれないのは、自分たちは作り手のかわりに日本の現代演劇を指導する立場にあるのだ、と考えているばかりか、肝心の時代の潮流をつかみ損なっているからです。)
私は小劇場には今でも(世界演劇の水準に照らして)面白いものがあると思っていますし、面白いものがなぜ面白いのかについてを語ることはこれからも続けていきたいと思っています。そして個別の作品に即して、面白いものを面白いと言い続けていくことだけが、小劇場に対してエールを送ることになるのだし、日本の現代演劇をもり立てていくことになるのだと思っています。最盛期の扇田昭彦や大笹吉雄の仕事はそういうものでした。
もってまわったお返事をしてしまったかもしれません。要するに、今面白い作品や演劇人について書くことで小劇場にエールを送るという趣旨であればやらせていただきたい、だけど安易な状況論をものしたり、自分の感性の衰えを棚に上げて「今の演劇はつまらん」というような繰り言を書くことはできない、ということをIさんにお伝えいただいた上で(このメールを転送してくださって構いません)、ご判断していただければと思っています。
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没企画特集:某編集者へのメール
Mさん
こちらこそご無沙汰しています。また何かというとお声をかけていただきありがとうございます。
ただ、正直にいうと、小劇場が今沈滞ムードにあるとか、ないとか、そういう状況論的な判断を下すこと自体に私はそれほど興味がないので、はたしてお手伝いができるか不明です。
勢いのある集団・才能のある劇作家や演出家がまとまって輩出する時代と、そうでない時代があることは確かだと思いますが、それはいわば偶然に左右される要素が大なのではないでしょうか。
さらに言えば、どうやら「沈滞ムードにある」とされる小劇場界に対して、批評のコトバを用いて一種の処方箋を書くことで状況が変わる、と考えるような愚かで傲慢な批評家にだけはなるまい、と私は考えてきました。批評家がなし得る最大の貢献といったら、時代の潮流を後追いで捉えることがせいぜいでしょう。(ある種の批評家たちを私がどうしても好きになれないのは、自分たちは作り手のかわりに日本の現代演劇を指導する立場にあるのだ、と考えているばかりか、肝心の時代の潮流をつかみ損なっているからです。)
私は小劇場には今でも(世界演劇の水準に照らして)面白いものがあると思っていますし、面白いものがなぜ面白いのかについてを語ることはこれからも続けていきたいと思っています。そして個別の作品に即して、面白いものを面白いと言い続けていくことだけが、小劇場に対してエールを送ることになるのだし、日本の現代演劇をもり立てていくことになるのだと思っています。最盛期の扇田昭彦や大笹吉雄の仕事はそういうものでした。
もってまわったお返事をしてしまったかもしれません。要するに、今面白い作品や演劇人について書くことで小劇場にエールを送るという趣旨であればやらせていただきたい、だけど安易な状況論をものしたり、自分の感性の衰えを棚に上げて「今の演劇はつまらん」というような繰り言を書くことはできない、ということをIさんにお伝えいただいた上で(このメールを転送してくださって構いません)、ご判断していただければと思っています。