一万円の会費を払うのがバカらしいから。そうまでして紙媒体の『シアターアーツ』を発行しなくてはいけない理由が私には理解できないから。 演劇批評が「食っていけない」ものであることはわかる。演劇批評でまともな対価をもらえるのは(私の知る限り)新聞社と文藝春秋だけだ。『文學界』に毎回長文の劇評を書いている長谷部浩は、四百字一枚5000円以上もらっている。新聞社はもっと出しているだろう。 『悲劇喜劇』はまだ良心的なほうで、一枚2000円。『テアトロ』は書かせてもらったことがないので直接は知らぬが、大学などほかに職がある人間には、原稿料を払わないことすらあると聞く。専業で演劇評論家をやっている人間など数知れているから、ほとんど払っていないわけだ。ちなみに最近サブカル偏向で『クイックジャパン』と変わらなくなってきた『ユリイカ』は一枚1000円。 出版社がそれぞれの事情で原稿料を決めているのはわかるし、安くてもよいから、全国の大学図書館には納本される『悲劇喜劇』『テアトロ』『ユリイカ』に書きたい、という人がいることは理解できる(私もそうだったし)。 しかし毎年一万円という大金を払ってまで『シアターアーツ』に書きたい/書かなければいけないと思う理由はいったい何なのだろうか。AICT日本センターの台所事情は苦しく、その大半が『シアターアーツ』の印刷代になっている。しかしそうならばなぜウェブマガジンにしないのだ? 配本されない書店のほうが圧倒的に多い『シアターアーツ』よりも、ワンダーランドのようなウェブサイトにしたほうがよほど広範な読者層を獲得できると思うのだが? 聞くところによれば、AICT日本センター会員だと名乗ると招待券を出す劇団は結構多いそうだ(私はそういうことをしたことがない)。ひょっとするとそういう招待券の総額は一万円を上回るのかもしれない。しかし『シアターアーツ』に書いてもらえるかすらもわからない会員に招待券を出し続けることは無駄だと劇団の制作は思わないのだろうか? 演劇批評ではまだ自他ともにアルファブロガーと名乗れる存在はいないが(渡辺保は例外だが)、影響力のあるブログを書いている人間や、えんぺの常連に招待券を出したほうがよほど広告効果はあるはずだし、まともな劇団ならそうしているはずだ。 そんなわけで、私は演劇批評を書きたいという欲望がまれに訪れたときには、自分のブログか、えんぺに書くだけにした。そのほうが人に読んでもらえるから。同人誌とかわらぬ懐事情であるくせに、プロの参加する同人誌が持っている表現したいという初期衝動で満ちあふれているわけでもない『シアターアーツ』に書くのは時間の無駄だ。
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なぜ私は国際演劇評論家協会(AICT)日本センター会員をやめたか
一万円の会費を払うのがバカらしいから。そうまでして紙媒体の『シアターアーツ』を発行しなくてはいけない理由が私には理解できないから。
演劇批評が「食っていけない」ものであることはわかる。演劇批評でまともな対価をもらえるのは(私の知る限り)新聞社と文藝春秋だけだ。『文學界』に毎回長文の劇評を書いている長谷部浩は、四百字一枚5000円以上もらっている。新聞社はもっと出しているだろう。
『悲劇喜劇』はまだ良心的なほうで、一枚2000円。『テアトロ』は書かせてもらったことがないので直接は知らぬが、大学などほかに職がある人間には、原稿料を払わないことすらあると聞く。専業で演劇評論家をやっている人間など数知れているから、ほとんど払っていないわけだ。ちなみに最近サブカル偏向で『クイックジャパン』と変わらなくなってきた『ユリイカ』は一枚1000円。
出版社がそれぞれの事情で原稿料を決めているのはわかるし、安くてもよいから、全国の大学図書館には納本される『悲劇喜劇』『テアトロ』『ユリイカ』に書きたい、という人がいることは理解できる(私もそうだったし)。
しかし毎年一万円という大金を払ってまで『シアターアーツ』に書きたい/書かなければいけないと思う理由はいったい何なのだろうか。AICT日本センターの台所事情は苦しく、その大半が『シアターアーツ』の印刷代になっている。しかしそうならばなぜウェブマガジンにしないのだ? 配本されない書店のほうが圧倒的に多い『シアターアーツ』よりも、ワンダーランドのようなウェブサイトにしたほうがよほど広範な読者層を獲得できると思うのだが?
聞くところによれば、AICT日本センター会員だと名乗ると招待券を出す劇団は結構多いそうだ(私はそういうことをしたことがない)。ひょっとするとそういう招待券の総額は一万円を上回るのかもしれない。しかし『シアターアーツ』に書いてもらえるかすらもわからない会員に招待券を出し続けることは無駄だと劇団の制作は思わないのだろうか? 演劇批評ではまだ自他ともにアルファブロガーと名乗れる存在はいないが(渡辺保は例外だが)、影響力のあるブログを書いている人間や、えんぺの常連に招待券を出したほうがよほど広告効果はあるはずだし、まともな劇団ならそうしているはずだ。
そんなわけで、私は演劇批評を書きたいという欲望がまれに訪れたときには、自分のブログか、えんぺに書くだけにした。そのほうが人に読んでもらえるから。同人誌とかわらぬ懐事情であるくせに、プロの参加する同人誌が持っている表現したいという初期衝動で満ちあふれているわけでもない『シアターアーツ』に書くのは時間の無駄だ。