「えんげきのぺーじ:一行レビュー」再録:2008年

11/ 1-11/25「吉例顔見世大歌舞伎」(松竹)@歌舞伎座
★★ 11/21 『寺子屋』梅玉の源蔵がいい。仁左衛門は平成中村座に続き本来のオーラを欠いている。魁春はもとの不細工に戻ってた。『船弁慶』最近の菊五郎は踊りが下手ということでよろしいでしょうか。芝翫らの住吉踊りはめっけもの。『八重桐廓噺』時蔵やっぱりだめだなあ。

11/ 1-11/25「吉例顔見世大歌舞伎」(松竹)@歌舞伎座
★★ 11/21 昼の部。『盟三五大切』菊五郎も仁左衛門も精細を欠いている。いま南北をやることの意味もよくわからん。『廓文章』「歌舞伎界の赤瀬川原平」魁春がはじめてきれいに見えた。藤十郎は高め安定。でも刺激はない。

11/ 1-11/25「隅田川続佛 法界坊 」(平成中村座十一月大歌舞伎)@浅草寺境内仮設劇場
★★ 11/18 団十郎・唐十郎・そして野田秀樹に憧れる勘三郎がよくできたフェイクを作っているだけ。これじゃあ本当に観客にパワーを与えることはできないよ。派手な幕切れもどこか空虚でさびしい。人真似ではなく我が道をきわめてほしい。

11/ 9-11/24「表裏源内蛙合戦」(上川隆也出演)@シアターコクーン
★★★★ 11/17 大変面白かった。これを見ずして日本現代演劇史を語ることはできないし、「手鎖心中」とあわせ、68年革命の挫折の心情をもっともうまく描いているのは当事者ではなかった井上だったのだという確信を強めた。観客には不親切な四時間超えの作品だが、蜷川の志の高さには敬意を評したい。

10/17-10/26「サド侯爵夫人」(篠井英介出演)@東京グローブ座
★★★ 10/24 三島戯曲の上演としてはいくつも疑問符がつくが、二幕後半の加納と篠井の掛け合いは歌舞伎好きにはこたえられない。篠井よ、客演でいいから花組にもどってきてくれ。

10/ 4-10/12「スペース・ターミナル・ケア」(栗山民也演出)@紀伊國屋ホール
-感想- 10/08 あの妙な間は会話が流れすぎないようにするための平田オリザばりの演出だろ。老舗だからこそ、何にもしないと「うまく」会話が流れちゃうわけで(二、三の女優はたしかに下手だったけど)。栗山民也が色々実験してのは興味深かった(どれも微温的なのでNHKっぽいのだが)。

10/ 4-10/12「スペース・ターミナル・ケア」(栗山民也演出)@紀伊國屋ホール
★★★ 10/07 評価が難しい。坂手洋二の人間を見る目がやさしく包み込むようになったのはたしかだが、毒気が抜けたのでNHKの良質のドラマ(適度にアヴァンギャルドな演出をとりいれるそつのなさを兼ね備えた)を見ているような気になる。

9/26-10/13「The Diver 」(現代能楽集IV)@シアタートラム
★★ 09/27 すごくつまらなかったわけではないが見に行かなくてもよかった。相変わらず演出は二流だし、俳優は三流。悲しいが、野田の想像力も枯渇したということだ。

8/ 9- 8/27「八月納涼大歌舞伎」(松竹)@歌舞伎座
★★ 08/25 『らくだ』、勘三郎も三津五郎も明らかにやる気なかったが、アクシデントが起きてから俄然気合いが入って(とくに勘三郎のほう)面白くなった。松鶴の落語のほうが百倍面白いけどね。

8/ 9- 8/27「八月納涼大歌舞伎」(松竹)@歌舞伎座
★★★ 08/25 『つばくろは帰る』、これを歌舞伎座で? 最近はなんでもありだな。三津五郎は相変わらず器用だが、菊五郎の柄の大きさに届くにはもう少し。福助はこういう役をやらせるといいねえ。きちんとした世話物でもこれだけの情緒ができるといいのだが。

8/ 9- 8/27「八月納涼大歌舞伎」(松竹)@歌舞伎座
★★★ 08/25 串田和美演出の『大江山酒呑童子』、ラストは異論もあろうが、モダンで、往年のテアトル・ド・コンプリシテを思い起こさせて、私は気に入った。

8/ 9- 8/27「八月納涼大歌舞伎」(松竹)@歌舞伎座
無星 08/25 愛陀姫、ひどかった。歌舞伎座で帰りたくなったのははじめてかも。猿芝居。ここまで観客のこと馬鹿にしていいのかね。マーラー五番は失笑するしかなかった。最後の魂は観客席全員で失笑。

8/ 4- 8/ 7「女教師は二度抱かれた」(松尾スズキ作・演出)@シアターコクーン
★★   08/07 それでキャストの信頼を得ている点は強みだが、松尾スズキよ、年とっていい人になるにはまだ早すぎるぞ。野田秀樹なんかいまだに人の生き血を啜っているからあんなに若い。

6/25- 7/ 7「プライス-代償-」(劇団民藝)@紀伊國屋サザンシアター
★★★★ 07/08 老舗の上演は安心できるなあ。発声は気持ちいいし、衣装はコーディネートされているし。昔ふうの新劇と変わらないテーマとか切り口の小劇場劇団が最近増えているけど、上演技術という観点では明らかに劣るからねえ。

5/31-6/1「エリザベス2世」(ゲルト・フォス出演)@静岡芸術劇場
★★ 06/01 名優にケチをつけてなんだが、ヘレンシュタインの作り込みが甘いのではないかい。老人性鬱病でもっとobnoxiousな性格なんじゃないの? 観客に愛されたいのはわかるが、ベルンハルトの台詞の毒を薄められて見せられている気がしてしまう。

4/11- 4/21「苛々する大人の絵本」(庭劇団ペニノ)@はこぶね
★★★★ 04/11 細かい難はあるものの、とにかく見るべし。見ることで自分の内部に起きる変化を味わえる作品はなかなか出会えないよ。

4/ 2- 4/26「四月大歌舞伎」(松竹)@歌舞伎座
★★   04/08 夜の部。三津五郎も勘三郎も「将軍江戸を去る」の慶喜とか、「勧進帳」の富樫をやるより、「浮かれ心中」で白塗りした阿呆面の戯作者を演じていたほうがずっと生き生きとして見える。中曽根の来場を観客に告げる勘三郎の一言がなければ行っても甲斐はなかった。

4/ 2- 4/26「四月大歌舞伎」(松竹)@歌舞伎座
★★   04/08 昼の部。所用があって「刺青奇偶」のみ。勘三郎は相変わらずのクサい芝居。長谷川伸はモーツァルトと同じで、軽みを出すのが難しい。今の玉三郎と勘三郎には荷が重い。

3/28- 3/30「日本の気象」(東京演劇アンサンブル)@ブレヒトの芝居小屋
★★★  03/30 久保栄の戯曲は時事的すぎて今やる意味が不明だし俳優の練度も一部を除き高いとはいえないが重厚ではったりのない語り口は見ておいて損はない。

3/29- 3/30「ゴーストリー・ラウンド」(レニ・バッソ)@パークタワーホール
★★ 03/29 初見。音楽もふくめフォーサイスフォロワーのアブストラクトな前半とコミカルでリアルな後半とが中途半端に接合。まあフォーサイスのパクリができるだけ大したものですが。

3/11- 12「ムネモパーク」(シュテファン・ケーギ)@川崎市アートセンター
★★★ 03/12 少々退屈もしたが、スイスに住んでいるドイツ語話者でないと舞台で表現されている微妙なものはこそげ落ちたまま伝わるのだろう。演劇の枠組みを再考させるという点では面白かった。

3/ 2- 3/26「三月大歌舞伎」(松竹)@歌舞伎座
★★ 03/07 夜の部。「鈴ヶ森」年寄りの冷や水だねえ。「京鹿子娘道成寺」藤十郎今ひとつだぞ。「江戸育お祭佐七」河竹新七の話がつまらん。スチュワート朝の演劇と同じで、人間が近代的な分小さい。

3/ 2- 3/26「三月大歌舞伎」(松竹)@歌舞伎座
★★   03/07 昼の部。「春の寿」「萬歳」の梅玉いい。「屋敷娘」の孝太郎も目元涼やか。「一谷嫩軍記 陣門・組打」せっかくの団十郎藤十郎顔合わせだが藤十郎元気なし。「女伊達」菊五郎そこまで年増に作らなくても。「廓文章 吉田屋」福助がよいがそれに比べると仁左衛門がだめ。

2/19- 3/ 2「ジャックとその主人」(串田和美プロデュース)@吉祥寺シアター
★★★★ 02/28 めちゃくちゃ面白い。生に倦み疲れ、演劇に倦み疲れた中年男にはぴったりの作品だった。

2/ 1- 2/25「二月大歌舞伎」(松竹)@歌舞伎座
★★★★ 02/04 夜の部。染五郎の「鏡獅子」につきる。「熊谷陣屋」は魁春がだめ、芝翫もよくない。「寿曽我」三津五郎橋之助はよいが富十郎がすでにお疲れ。

2/ 1- 2/25「二月大歌舞伎」(松竹)@歌舞伎座
★★★★ 02/04 ★×5(はてなスターみたいに100個とかつけられたらよいのに)昼の部。久々に水準の高い舞台。「関の扉」と「七段目」の後半だけでも見る価値あり(夜の部と違い染五郎はだめ)。歌舞伎初心者にもおすすめ。

1/ 2- 1/26「壽 初春大歌舞伎 」(松竹)@歌舞伎座
★★★ 01/08 「鶴寿千歳」富十郎と芝翫は新春隠し芸のような扮装で失笑。「連獅子」頭ぐるぐる回しているだけで拍手だからなあ。「助六由縁江戸桜」団十郎はすばらしいが福助がなあ。後半は落ち着いていたが前半のキンキン声はなんとかならんか。

1/ 2- 1/26「壽 初春大歌舞伎 」(松竹)@歌舞伎座
★★★ 01/08 昼の部。「猩々」遅刻して見逃す。「一條大蔵譚」話は本当にくだらないが梅玉がいい。「けいせい浜真砂」雀右衛門まだプロンプつけているぞ、ぼけてるのか。「魚屋宗五郎」座組みがだめ。江戸弁しゃべれなければ江戸前の生世話物にならないよ。幸四郎はふつうにいいが。「お祭り」団十郎三十代に見られたいというのは無理だがまああの年であの身体の切れはさすがだ。

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