『愛陀姫』がひどいことになっている件

『愛陀姫』はひどいの一言。ドサ回り芝居の感性を歌舞伎座に持ち込んでいる。

もっともひどいのが、最後の場面で、二人が昇天する際に透明の小さな球体を二つ昇らせるところ。あれは魂のつもりか!? いまどき高校生の芝居だってあんな演出しないぞ。さすがに観客席からは失笑がもれていた。

音程が持続しない和楽器で『アイーダ』を演奏、しかも録音というのも相当観客をなめているが、なぜマーラーの交響曲第五番の第四楽章(アダージェット)が流れるのだ!? まさか『ヴェニスに死す』?

そしてもちろん、あの曲はいかに一つ一つの音を長く持続させるかにかかっているわけだから、和楽器で演奏すると音程がずれてきて、相当腕の悪いアマチュアのオーケストラの演奏のようになる。

それから『女教師は二度抱かれた』でも気になったが、登場人物の台詞を言わせるあいだに他の登場人物をフリーズさせるというのも相当田舎くさい演出だ。

濃姫の「生きながら死んでいきます」という台詞は、商業演劇にずぶずぶ入り込んで身動きがとれなくなった野田秀樹の本音だとしたら理解できる。

七之助はだいぶ野田に稽古をつけられたのか、野田の台詞の言い方が移っていた。両方の立場を忖度するところは『小指の思い出』の野田の演技を思い起こさせた。ちょっと懐かしくなったが、だが結局、野田が自己反復しかできなくなっているということだ。

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