「喜劇」と冠した最初の戯曲

白川宣力「明治期のモリエール劇」(『学鐙』1972年7月号)には以下のような記述がある。

なお国立国会図書館編「明治・大正・昭和翻訳文学目録」によると、このあと明治三十三年一月雑誌“この花”に渡辺霞亭の「花風病」というモリエール作品が発表されたということであるが、この稿を書くにあたって再度その所在を索ねたが複々不明のままで時間切れになってしまったのは残念である。(三六頁)

この記述をもとに、『明治・大正・昭和翻訳文学目録』にあたってみると、「喜劇・花風病」とたしかに角書がある。しかし、『この花』という雑誌の所在がどうしてもつかめない。

一方、『明治・大正・昭和前期 雑誌記事索引集成 人文科学編(第46巻)文学四』(一九九七年、皓星社)に掲載されている『現代文学全集別巻 現代日本文学大年表』(一九三一年、改造社)には、「花風病」以前に以下の三作が喜劇を題名に冠しているとされている。

明治三十年(一八九七)八月 山田其廼園「喜劇 瓢簞鯰」『喜樂』『現代日本文学大年表』九九頁(『明治・大正・昭和前期 雑誌記事索引集成 人文科学編(第46巻)文学四』一〇九頁)

『喜楽』は国会図書館で入手済み。目次には「喜劇 瓢簞鯰」とあるが、本文では「瓢簞鯰」とだけある。原作がドイツのものらしいが、翻案されて登場人物や舞台などはすべて日本になっている。周旋屋をめぐってのドタバタ喜劇。

明治三十一年(一八九八年)二月 幸堂得知「喜劇 人か影か」『太陽』(4卷2號?)『現代日本文学大年表』一〇四頁(『明治・大正・昭和前期 雑誌記事索引集成 人文科学編(第46巻)文学四』一一四頁)

『太陽』は成蹊大学図書館がCD-ROMを持っていたのでコピーする。本文には「日本喜劇 人か影か」。こちらは隠れ蓑を神様から貸してもらった男の物語で、日本の昔話に題材をとったものだろう。

明治三十一年(一八九八年)八月 梶田薄氷「喜劇 二階の客」『文藝倶楽部』(4卷8編?)『現代日本文学大年表』一〇七頁(『明治・大正・昭和前期 雑誌記事索引集成 人文科学編(第46巻)文学四』一一七頁)

本文には「喜劇」の文字も冠せられておらず、内容も樋口一葉ばりの不誠実な夫をもった女性が苦労する話で、喜劇などではない。国会図書館で目次のコピーをとり、再度確認する必要あり。

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