『立川談志ひとり会 落語ライブ’92〜’93』第三集。1992年12月9日。
談志は骨格だけしかないテキストを「作り込む」、つまりサブテキストを充実させる方向が古典落語の唯一生きる道だと信じているふしがある。たしかにそれは志ん生と圓生がとった方法である。談志は語りそのものの魅力を認めない。可楽を認めないのはまだわかるが、正蔵も同様に彼にとってみれば「本格」ではない。
取り澄ませた口調での語りはリアリズムではない、ということなのだろう。この「芝浜」でも談志はなるべく登場人物の会話だけで物語を語ろうとする。語りになると自分の口調に戻る。
ダメ亭主と連れ添った腹をくくった女房がいかに怖いか、ということを結果的に描き出している。
『笑いと創造』第五集
『笑いと創造』第五集(勉誠出版、二〇〇八年)isbn:9784585031697